『橘姓斑目家の歴史 古代・中世編』
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33第1章 薩摩斑目家は京都貴族の橘氏性のある文章の体裁自体が、宝賀氏の才気ぶりを雄弁にものがたっている。相手は長年「国益」を旗じるしとして公務に生き続けた、誇り高き大蔵官僚である。個人的な目的で取材する、しかも歴史・系図のド素人に対し、露骨に上から目線で来られでもしたら、こちらもそれに反発して元も子もなくなってしまう。訪問日の前日、グーグルアースの画像で道玄坂のビルの所在を確認するうち、なにやら宝賀氏との奇妙な「縁」めいたものを感じた。その画像には、まさにそのビルに入っていこうとしている一人の男性の姿が映っていた。ワイシャツを腕まくりし、あたかも昼食を一人で外で食べ終え、戻って来たかのような雰囲気を漂わせている。やや左後ろからのアングルのため顔はほとんど見えず、画質もぼやけ気味だが、姿全体の印象は間違いなく、まだ会ったこともない宝賀寿男氏だ。ネットのHPの写真で見慣れた宝賀氏の印象と、ピタリ重なるのだ。まるで、このビルですからお間違いなくと案内してくれているかのような光景だ。

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