『橘姓斑目家の歴史 古代・中世編』
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300――この席もそうですが、酒は伊達で飲んでいるわけじゃない(笑)。特に10世紀後半からは、お酒を飲むというのは大事な儀式になってくる。器もへらべったい器から大きな器に変わって来る。大きい器でお酒を飲んで、小さい器にはつまみがいっぱい。お酒を他人と一緒に飲むという事は、必然的に人を上座下座に分けます。その場で上座下座が分かれ、地位と立場の上下が明らかになる。だから飲むということ自体が政治なんですよ。普通の人たちではやれない。武士を集める力を持った権力関係の、微妙なあやを伴ったやり取りなんです。だからもう蝦夷対策とかなんとかじゃなくなっている。宴会は自分の立場を確認し、互いの合意を形成する場でもあるんです。だから大鳥井山では、お酒を飲むかわらけとかつまみの器とかがいっぱい出ている。それだけ武士が集まっていたということです。そういう遺跡って、めったにないんですよ(笑)。――そういうかわらけとか大小の器の役目というのは、どうやって分かるんですか。

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