『橘姓斑目家の歴史 古代・中世編』
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16性を選ぶしかないということだ。◇系図を手掛かりとして取材を進めていくにあたって、一つの方針を設けることにした。実証論理の方法論が壁となって分かれ道に来た時には、斑目家の子孫ならばこちらを選ぶだろうという方向に進むことにした。例えば、斑目家の伝承については、真偽が定かでない限り、学者の立場は判断停止をしたり、判断材料から排除するという方向になるが、子孫の立場は違う。斑目家にとっては長きに渡って「家伝」という実存的事実の実績となっており、それは先祖たちの生存の証しとして最大限に尊重すべきものである。だから、その事実を明らかに否定する材料が出て来ない限りは、「疑わしきは『家伝』の利益に」という立場を取るべきなのだ。要するに、歴史学はそれを「虚偽」と言っているわけではない。「判断不能」と言って

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