『橘姓斑目家の歴史 古代・中世編』
171/356

169第8章 清水亮氏インタビューすね。「本領を帯ぶるの上、直の奉公を免ぜらるるの上」とは、どういうことなのですかね。僕もこれがあるので、惟秀は結城氏の家来ではあるが、結城氏に依存しないと生きていけない武士ではないと判断したわけですよ。「直の奉公」ってのは南朝方へのものでしょうね。こういうことを書かなきゃいけないのは、親房が惟秀と「直の奉公」の関係になるには、親朝の同意を得なければいけないということだったんでしょう。これは他の武士については書かれていないことですので。こうした状況が当たり前であれば、こんなことは書かなくたっていいわけですよ。これが書かれていると言うのは、惟秀は本領を持つ武士として独立的にやっていけないわけでもないけど、でもやっぱり結城の家来だど。そのうえで「直の奉公を免ぜらるる」というのは、結城に断わりを入れないと、南朝方の直属武士としての立場を手に入れるのはちょっと親朝との関係でまずかろう。そういう事情があるために、こういう文言が入っているのかなあと思ったわけです。――親房がそういう気を遣って、親朝あての手紙を書いていると。

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です