『橘姓斑目家の歴史 古代・中世編』
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12◇若い頃の事件記者時代を思い出した。毎晩のルーティンワークとして、特捜班長(殺人など重大事件に即応する特別捜査班の指揮官)の自宅に夜回り取材をしていて、こんな話を聞かされた。「重大事件の捜査では、捜査本部は二つの方向性を取ることになる。絶対に犯人を逃がさず、冤罪も作らないという確実性を重視した、当然の方向が一つ。もう一つは、犯人をできるだけ早く捕まえるという方向だ」「前者のために、事件後直ちに最大限に捜査員を投入し、現場検証や関係者聴取、周辺聞き込みなどの基本的な捜査を徹底的に行う。そうやって大網を広げて、とにかく細大漏らさず関連情報を網の中に入れておき、後は慎重に着実にその情報を使って犯人に迫っていく。犯人逮捕を急ぎ過ぎると、なにかと間違いが起こりやすいからだ」

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