『橘姓斑目家の歴史 古代・中世編』
13/356

11はじめにその難題に対し、自然科学にならって実証を旨とする歴史学の道筋だけでは、必ず「史料がない限り、それは臆測にすぎない」「そうとも言えるし、そうでないとも言える」「判断材料がない限り、分からないとしか言えない」といった厚い壁にぶつかってしまう。そんな歴史学の道筋に囚われる限りは、前進することができなくなってしまう。新しい道筋を開くために、残された手段としては系図を手掛かりにするしかないのではないか。歴史に造詣が深い力曠さんは、厚い壁が立ちはだかって来ることを見通していたのだろう。私が取材に着手するにあたって、こう語ってくれていた。「学問というのは問うて学ぶものです。だから歴史学の枠に囚われず、思うまま感じるままに、自由に取材してください」この大らかな言葉がありがたく意味深い指針となった。

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です